こんにちは。
2020年最初の投稿なのですが、かなり厳しい話からしなければなりません。
私は昨年末、「これからバルーンは厳しくなる」とみていました。当初私が予想していた「厳しくなる要素」は、ヘリウムガスの価格高騰と少子高齢化による市場の変化、といったものでした。
しかしながら、それとは全く異なる要素で「これからバルーンが厳しくなる」と私は判断しました。
それは「地球環境の問題」なのですが…ここ最近になって、思いもよらぬ話が世界各地から伝わり始めました。
ウミガメなど海洋生物の生態系にゴム風船が悪影響を及ぼしている
という報告がここ数年、世界的に相次いでいるのです。
過去に風船が地球環境に悪影響を及ぼしているとされ、問題になり、バルーンリリースが一時期廃れました。1990年代前半のことです。これにバルーン業界が危機感を抱き、メーカーはゴム風船を天然ゴム100%化し、「天然ゴム100%のゴム風船は自然分解され、環境に影響を及ぼさない」として、バルーンリリースは復活しました。現実に天然ゴム100%の風船は光分解と熱酸化によって自然に還ります。
ところが、ここ数年、新たな研究結果が報告されたのです。
それは、
天然ゴム100%の風船が海の上で分解されるには、陸上より長い時間がかかり、さらに分解される間に形状がウミガメの餌である鉢クラゲやイカと似たものになり、ウミガメが間違って食べてしまう。さらに小さな破片は体外に排出されるが、クラゲに似た大きな破片はウミガメの体内で消化できず、死んでしまう
というものでした。
ソウス2「廃プラで新条例。オーストラリアの「バルーンリリース」禁止」
これがレジ袋をはじめとした、脱プラスチックの流れに乗り、昨年2019年にはアメリカやオーストラリアのそれぞれ一部の州、さらにジブラルタルなどのヨーロッパの一部でバルーンリリースが禁止されるまでになりました。もっとすさまじいところでは、バルーンの販売が全面禁止された地域まで存在するようなのです。
そのようなトピックを、何と世界最大のバルーンメーカー、クオラテックスで知られるパイオニアバルーンカンパニー社が取り上げ、
バルーンリリースを止めて、それに代わる演出を考え出し、バルーンの将来を守ってほしい
という呼びかけをするまでになったのです。
ソウス3「放さないで: クオラテックスバルーンからのお願い」
つい最近まで、バルーンリリースを公認していた世界を代表するメーカーがこのような呼びかけをするまでに至ったこと自体、
パラダイムシフト
が起きつつある、と考えます。
この流れは、近い将来、間違いなく日本にも伝わるとみています。平成から令和に時代が変わり、昭和末期(昭和60年代)から平成初期(平成5年ごろ)、すなわちバブル期の前後の日本を取り上げ、
時代とともに常識も変わる
というようなことを、最近よくテレビなどのメディアで取り上げているのを目にします。タバコ、バイクのヘルメット(1986年義務化)…ほかにもいろいろあります。大部分は科学技術の発展で変わったものが多いのですが、社会の進化と共にかつての常識が今では非常識となったものも数多く見受けられます。
日本国内でもSDGs(Sustinable Development Goals)という新しい価値観が少しずつ広がっています。その中には「作る責任、使う責任」「海の豊かさを守ろう」といったものが含まれています。
ソウス4「Japan SDGs Action Program」
私は今後、
障がい者・高齢者を含むすべての人たちが自分らしく生きていける社会をつくるのにバルーンを役立てたい
という考えを基本にバルーンに取り組むことにしていますが、その中で
子どもたちにどのようにしてバルーンを通した情操教育をしていくのか
という課題に取り組まなければなりません。
海外でバルーンリリースが海洋生態系に悪影響を及ぼしている可能性が取り沙汰され、禁止の方向に向かっているという現実があります。長年、「いつまでも心に残る感動を生み出したい」とバルーン演出に取り組み、無数の風船たちに生命を吹き込んできた私としても、真剣に考える時期が来たと思います。
何しろ、この冬は超が付く暖冬で、晩秋なのか早春なのかわからない日々が続いています。地球温暖化が進行しているのは明らかです。2018年の西日本豪雨、2019年の台風…漁業の世界でも、ここ数年サンマやイカなどのの不漁が深刻化しています。
これからの時代、子どもたちに地球環境に対して正しい認識を持ってもらうためにも、バルーンリリースを今後扱うか、たとえ地球環境に及ぼす影響が微々たるものだとしても、真剣に考える必要が出てきました。
次の投稿では、「なぜバルーン演出に感動するのか」「なぜ風船は多くの人を魅了するのか」ということについて考えてみます。私がなぜ風船が好きになり、風船を愛するようになり、風船を仕事にするまでになったのか…そこから私が歩んできた道のりを振り返り、今後どのようなバルーン演出をしていきたいか、そして風船で一体何が社会に対してできるのか、考えていきたいと思います。